大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(行ナ)37号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実〕二 本願考案の要旨

一方において回転部材と、また他方において各一箇の駆動連桿を介して翼とに連結され、推進機とともに回転する偏心的に変位できる制御盤を有し、該盤は周囲にわたつて一様に配置されて各翼に対し各一箇の回転できる隙孔案内部を有し、この案内部内に駆動連桿に属して軸線に平行なピンの周を回転部材内で回転できる双腕槓桿の腕が係合するようになつているものにおいて、制御盤がこれら双腕槓桿によつてだけ担持されて成る翼車推進機の構造。

<中略>

四 本件審決を取り消すべき事由

本件審決は、本願考案の要旨の認定を誤り、その奏する顕著な作用効果を看過誤認し、ひいて引用例記載のものとの比較において判断を誤つたものであり、違法として取り消されるべきである。すなわち、本願考案は、前掲記のとおり(第二の二参照)の翼車推進機において、「制御盤がこれら双腕槓桿によつてだけ担持されている」構造をその要旨とするものであり、本件審決認定のように、「制御盤を双腕槓桿によつて担持する」という構造を要旨とするものではない。本件審決認定のように、制御盤を双腕槓桿によつて担持するということは、双腕槓桿によつても担持するが、他の機械要素によつても担持するという意味を含み、換言すれば、双腕槓桿は制御盤担持要素の一部であることを意味するのであるが、本願考案においては制御盤の担持要素は双腕槓桿だけである。しかも、本願考案は右の構造により、従来のように制御盤担持用の機械要素を特設する必要がなく、したがつて、構造が簡単で簡潔な組立ができ低廉に製造できるばかりでなく、従来のものに比して大きい偏心度の調整が可能となり、機械的要素が少なくなる結果故障の起こる可能性も少なくなり、製作又は組立の不精密に割合敏感でないから作動確実に構成できるという実用上優秀な効果を奏するものである。したがつて、本件審決がこの構造に基づく顕著な効果を否定し、本願考案と引用例記載のものとの相違は、「制御盤を双腕槓桿によつて担持する」という点につきるとし、しかも、引用例には翼車推進機の堅断面図が示されていず、制御盤の支持方式についても何ら言及されておらず、制御盤の具体的構成に関する設計的記載が全く存在しないにかかわらず、「このような相違は設計上の微差にすぎない。」と判断したのは誤つている。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二、本件審決は、本願考案の要旨に関する認定を誤り、ひいて、引用例との比較において判断を誤つたものであり、その点において、違法であり、取り消されるべきものである。すなわち、本願考案の要旨は原告主張のとおりのものと認めるを相当とするところ、本件審決が、この点に関し、原告の主張するような認定をしたことは当事者間に争いがなく、両者を比較すれば、本件審決の認定が、本願考案が制御盤が双腕槓桿によつてだけ担持されているという構造を有するものであることを看過誤認したことが明らかであり、本願考案は、右の構造をとることにより、原告主張のような効果を奏するものであることは前掲<書証>及び本件弁論の全趣旨に徴し明らかであるから、本件審決は、この点に関する本願考案の要旨の認定を誤つたものといわざるをえない。しかして、本件審決がこの誤つた要旨の認定を前提とし、これと引用例記載のものとを対比してその結論を導いたものであることは、当事者間に争いのない本件審決理由の要点に徴し明らかなところであるから、本件審決は、本願考案の要旨の認定を誤り、その結果、引用例との比較において判断を誤つたものというほかはない。

(むすび)

三、叙上のとおりであるから、その主張の点に違法があるとして本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由があるものということができる。

(三宅正雄 土肥原光圀 武居二郎)

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